中将姫が出家した場所 奈良・當麻寺中之坊
當麻寺の講堂、金堂からさらに東へ。
當麻寺塔頭最古の中之坊へ行ってみます。
ちょうど中将姫展が開催されていました。
もとは役行者が開いた中院というお寺で
中将姫の師である実雅が住坊としていたそうですが
開創の詳しいことは不明だそうです。
拝観受付を済ませて順路を進むといきなり剃髪堂が。
ここは中将姫が剃髪した場所で中之坊の本堂です。
中将姫(ちゅうじょうひめ)は
幼い時に母を亡くし、継母に虐待され、
ついには殺されそうになるという悲しい生い立ち。
しかし極楽往生を願って読経する姫を殺せず
雲雀山のお寺へ隠されてしまいます。
その後、父によって都へ連れ戻されますが
16歳で當麻寺に入って尼になり、26歳の時に
蓮の糸で一夜にして當麻曼荼羅を織ったといわれています。
導き観音は中将姫が守り本尊とした十一面観音。
本堂の隣に中将姫誓いの石がありました。
中将姫が出家を願って訪れた当時の當麻寺は
女人禁制のため入れなかったのです。
仏道を志す姫が読経を続けたところ
石に足跡がついた、というもの。
草が生い茂って石が見にくいんだけど…><
姫の願いが叶って當麻寺で出家することができたのです。
大和三名園のひとつ、香藕園に入ってみます。
池泉回遊式兼、観賞式庭園で
鎌倉時代に起源を持ち、桃山時代に完成し
江戸初期に改修された歴史のある庭園です。
石組みが鎌倉時代のものなのかな?
茶室を望むの図。
スイレンが少し咲いててキレイでした。
中将姫は多分実在していたのでしょうけれど
當麻曼荼羅は、蓮の糸で一夜にして織った、ではなく
絹の糸で織られた大陸製で十数年かけて造られたもの
というのは後にわかっています。
つまり、蓮糸曼荼羅は誰かの作り話だろう、と想像。
平安時代に琵琶法師とかが伝えたのかなー。
それが能や歌舞伎に取り上げられ脚色されて大人気に。
そうして人々に知られていくことになるんですね。
江戸初期の改修は後西天皇を迎えるためでした。
茶室・丸窓席はこの時に増築したもので
大丸窓が見事で大胆なつくりです。
池がまるで鏡のようで美しい…♡
香藕園を通り抜けるとぼたん園があります。
…が、ぼたんは咲いてなかったので咲いてる花を。
客殿の北側から写仏道場の絵天井を見ることができました。
内部の公開は4年に一度ということで次回は平成30年。
通常はガラガラと自分で扉を開けて外から眺めます。
こんな空間で写経や写仏もいいもんですねえ。
時間があったら写仏をやってみたかったな。
このあとは霊宝館で中将姫展を見ました。
剃髪したあとの髪で刺繍した梵字や
女性として最古といわれる肖像画なども。
展示内容は時期によって変わるようですが見ごたえありました。
伝説も入り混じっているけどやっぱりすごい人なんじゃない!?
29歳にして生きたまま西方浄土へ向かわれた
という最期までなんだかファンタジック。
物語にしたくなるような人生を送られたのかもしれません。
不遇は幼少時代だったけれども強く生きた女性。
もっと有名でもいいのに、と思うけれど
教科書に載るようなタイプではない?のかもしれませんね。
ちなみに境内の西端に髪塚がありました。
剃髪した髪で梵字を刺繍した故事にちなみ
毎年、剃髪した日の6月16日に髪供養会がおこなわれます。
参拝者の髪を石塚に納めてくれるそうです。
美しい髪になりたいひと〜!
髪を増やしたい人にもいいかも!?
いただいた御朱印は3種類。
本尊の「導き観音」と大和十三佛第六番の「弥勒尊」
大和七福八宝めぐりの「布袋尊」。
拝観受付に御朱印帳を預けました。
このあと千佛院でお声がけするも誰も出てもらえず…
宗胤院で1時間以上滞在してしまったら時間切れ><
當麻寺では奥院、本堂、中之坊のほかに
西南院と護念院で御朱印をいただけます。
それぞれ個性的な庭もあるということで
また秋にでも再訪できたらいいなあ。
御朱印まとめ
拝受場所/拝観受付
★本尊「導き観音」
★大和十三佛第六番「弥勒尊」
(中の坊には弥勒菩薩がなかったので金堂にある弥勒佛を指していると思われます)
★大和七福八宝めぐり「布袋尊」
(気づきませんでしたが中之坊に古くから祀られているそう)
以上、當麻寺中之坊でした。